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#MGM2 .23 2齣まんが3 「ねこダンジョン」ノラ&タ多丸(NEKOPOPOLON)

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「ねこダンジョン」ノラ&タ多丸(NEKOPOPOLON)

 本作では下描きの立方体は箱型のモンスターとして、下描きの人物はファンタジー世界の勇者として表現されていて、勇者が道中でゴーレムねこというモンスターと遭遇したという状況が描かれています。
 二齣目では勇者は食べられてしまった! というナレーションがあり、勇者が、遊園地のような謎の空間に居る状況が描かれています。
 これは勇者がモンスターに食べられて、モンスターの体内に入ってしまったということを表現しています。驚くべき創造力に基づく斬新なアイディアが表現されていると言えるでしょう。

 一齣目では迫ってくるモンスターに勇者がたじろいで後ずさり追い詰められている様子が描かれています。動きの表現が控えめなのでこの動きは気づかれにくいかもしれません。勇者がモンスターに追い詰められている状況を示すのであれば腰の引けた勇者が剣を構えてモンスターを牽制していたほうが自然だったかもしれません。
 両者の顔の角度を見る限り、モンスターは勇者より奥にあるように設定されていると思うのですが、勇者の足は地面の隆起の向こう側にあり、勇者のほうが奥にいるようにも見えなくはありません。これは私の下描きの人物の足が稜線の向こうに隠れているように描かれていることに引っ張られてしまったものと思われます。下描きに囚われることなく勇者の足まで描いていたならば位置関係を確定して勇者が手前にいることを明確に示せたでしょう。

 モンスターのほうが奥にいるとするのならば、モンスターはかなり大きいものと想像されますが、画面上に他の要素がないので大きさを確定することはできません。モンスターの周囲に、スケールの比較対象となる樹木や構造物などがあると、読者はモンスターの大きさを推し量ることができたでしょう。
 二齣目において、勇者がモンスターの中の遊園地のような空間に居るのだから、常識的に考えればモンスターは数十メートル規模の大きさであるはずです。その場合、大木や家などが背景に小さく描いてあると、相対的にモンスターが巨大であることがわかりやすいかと思います。
 しかし一方でモンスターと勇者という要素によってこれがファンタジーであることが示されているので、基底現実の常識は通用しないことが想像されます。周囲のものと比べてモンスターが意外に小さく、人と同程度の大きさだった場合、勇者はモンスターに食べられた時に魔法で縮んでしまったとか、モンスターの中は常識が通用しない異空間であるなどの解釈がされるはずです。背景の有無によって読者の解釈が異なってしまうのです。

 二齣目では、ジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーラウンド、遠心力を楽しむマシン、塔型の絶叫マシンなど、さまざまな遊具のみならず、それに乗って楽しんでいる単眼のモンスターたちが描かれています。モンスターに食べられてしまったという本来は危機的な状況であるはずなのにもかかわらず、とても楽しい雰囲気が出ています。この二齣目はただ見ているだけでも楽しい絵であると思います。
 勇者が箱というかサーカスのテントのようなモンスターの体内世界に入ったということは、中心部に大きく描かれた目の意匠によって読者に理解されます。一齣目と似たデザインかつ一齣目とは少し違うこの目があることによって、二齣目の壁は一齣目の顔を裏側から見た図であることがわかるのです。描きこまれた絵の高い表現力によってモンスターの目はボルトによって裏から壁に固定されていたものであったということまでわかります。この目がなければ、どこかわからない異世界に勇者が飛ばされたというだけで、「モンスターの体内の世界」という斬新なアイディアは読者には伝わらなかったでしょう。
 一齣目の、モンスターの外側を捉えた図から、二齣目のモンスターの内側を捉えた図に移行するという、並外れた視点の変換がとても面白いと思います。

 勇者が「モンスターの体内の世界」に入ったという、ややもすれば理解が難しくなってしまうはずの斬新なアイディアを、確かな表現力によって読者に理解させる、すばらしい作品です。
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