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#MGM2 .23 2齣まんが2 「怪獣襲来!」えしま長月

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「怪獣襲来!」えしま長月

 本作では一齣目において立方体と人物の組み合わせが、巨大なビルと巨大怪獣として描かれています。このスケールの巨大さは、同じお題から描かれた作品の中でも稀有な例です。

 車線の複数ある太い道路と、怪獣の周囲のビルによって、ここが現代の大都市であることがわかります。ビル群からは煙が上がっており、道路にはひっくり返った自動車が転がっています。既に怪獣によって街が破壊されていることがわかります。早急に駆逐しなくては都市生活に大きな被害が出るのでしょう。
 道路には戦車が列をなして怪獣に向かっています。この戦車はパースに沿って向きが変わっていて、怪獣への方向性と距離感を強調する役割を果たしています。欲を言えば戦車を横列ではなく手前と奥に大きさを変えて配置したならば大小遠近法によって距離感をさらに強調できたでしょう。飛んでいるのは戦闘ヘリでしょうか。既に軍隊が出動している国家レベルの危機であることがわかります。これが状況を説明するという、背景の持つ力の一つです。
 
 また、周囲のビル、戦車、信号機、道路の広さと比較して、怪獣は数十メートル以上はある巨大なものであることがわかります。さらに、カメラから怪獣がいる地点までは相当な距離があることも分かります。これが背景の持つ力の2つ目、スケールの確定です。
 逆に言うとここまでいろいろな要素を描かないと巨大感は演出できないのです。作者さまは特撮映画などでその点をよくご理解されているのだと察します。

 一齣目の怪獣とビルはどちらも稜線の奥側にあり、同程度の距離にあるように思えます。ただ、二齣目においては怪獣は足先が稜線に隠れているのですが、ロボは稜線の上にあるので、ロボのほうが近くて怪獣の方が遠くにあるようにも見えます。
 ロボの足先も稜線に隠したならば、両者が同程度の距離にあるように見えたかもしれません。足先をビルや森などで隠してどこに接地しているのかわからなくしてスケール感をごまかすというのは、実際の特撮映画で小さいものを大きく見せるためによく使われる手法です。

 二齣目においては、一齣目のビルと思われたものが実は変形ロボであり、怪獣に対抗する様子が描かれています。
 このロボは変形前と変形後の形に矛盾がないようにデザインされています(細かいところを言うと一齣目の中央下部はトンネルのように貫通しているべきで、二齣目のロボの左肩のパーツは点が5個であるべきですが)。各ブロックの意匠が変形後にも残っているので、変形したということがひと目で理解できます。もし一齣目のビルに何も特徴がなかったのならば、変形したということがわかりにくかったでしょう。

 二齣目には背景のビルは描かれておらず、代わりに集中線という効果が描かれています。一齣目でここが大都市であることと、怪獣がビルより大きいことは既に示されているので、二齣目では敢えて同じビル群を描く必要もありません。同じビルを二度描くよりも、集中線にした効果がうまく働いていると思います。
 また、ガチャン! という擬音や、流線、エフェクトにより、ビルがロボに変形した動きがうまく表現されています。

 戦車やヘリが出撃している様子が、悲惨さというよりもむしろ怪獣映画を思わせる、楽しい雰囲気を出しています。
 また、戦車でも敵わない強大な力を持つはずの怪獣が変形ロボに驚いて、冷や汗をかいて間抜けなポーズをとっている様子がとてもユーモラスで、まんがらしいとても楽しい作品です。

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