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#コミティア126感想 コミティア126で読んだ本「床の上」季節はずれ

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生活床の上」季節はずれ

 引きこもりの姉を持つ妹。姉と母は毎日口喧嘩ばかりしていて、姉とまともに話せるのは妹だけなので妹は毎日姉の部屋に行って姉の様子を見ていた。

 姉は17歳になったら死ぬからと嘯くがすでに姉は19歳で妹が17歳である。妹は受験の時期が迫り県外の大学に進学を望む。姉を捨てて遠くで一人暮らしがしたいのだ。しかしそこで姉は妹にこの家に残って欲しいと言う。

 妹はネットで2万する絶版の詩集を買う。詩集は案外つまらなく2万円を無駄にしたことに死にたくなる。たしかに彼女らにとっては2万円をドブに捨てたというのは大変な絶望なのだろうが、彼女らの「死にたい」はこの程度なのである。思春期の彼女らの感受性はあまりに鋭敏でささいな棘にも痛がってみせるのだ。
 妹が平日昼間に銀行を訪れるシーンは象徴的である。大人たちは、妹が生きるの死ぬのと言っていた2万円、それどころではないお金を日常的に扱っている。妹がお年玉などで17年の一生をかけて貯めた40万円、それを大人は一ヶ月で手に入れてしまう。姉はその世界に行かず母と臍の緒で繋がったぬるま湯の中の世界で生きる事を選んだが、妹はその母と姉を捨て、これからそういう世界に生まれ出なければならない。
 大人になれば汚れた世界の中で感覚は鈍麻していき、時間が過ぎる速度も増して行き、死にたいと思う間もなく生活に押されて気づいたら年老いていることになるだろう。そうなる前、生まれる以前の羊水の中の世界と言ってもいい、あまりに無垢で脆いものがこのまんがには描かれている。登場人物が女性だけというのも象徴的である。

 文字が多く絵は少ないスタイルのまんがで、これはこれで海外にビジュアルノベルというジャンルがあるのだが、妹が姉の部屋に行くシーンなどは絵で描かれないので少々分かりづらい。「姉の部屋のドアを開けるシーン」は象徴的なものとなったはずである。ここだけでなく場所が変わる時はその場所をまず絵で描くと雰囲気が出るし読者に状況がわかりやすくなるかと思う。
 あと、立派な作品を生み出したことを誇るべきだし作者名は書くべきだと思う。
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