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【創作同人電子書籍紹介】ムー・タウンの子供たち 増村十七

 少し前まで自分が運営していた創作同人電子書籍紹介掲示板が、突然運営がサービスを停止してしまったので消滅してしまいました。すっかり更新をさぼっているこのブログですが、テキストファイルに残っている創作同人電子書籍紹介文を少しずつ復元していこうと思います。

 創作同人電子書籍とは、企業でない個人がkindleやbookwalkerなどの電子書籍配信サイトで配信している本です。漫画家なかせよしみ先生が提唱されたもので、先生ご自身も創作同人電子書籍を数多く出されています。
https://sousaku-doujin-epub.jimdo.com/%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E7%B4%B9%E4%BB%8B%E4%BD%9C%E5%93%81/


 もはや出版社を通さずとも個人が世界に向けて電子書籍を発表できる時代になりましたが、「ひとりぐらしの小学生」などの稀有な例を除いてそれらはほとんど注目されていません。個人の作品ですからもちろん完成度の差は大きいのですが中には見るべきものもたくさんあります。今後手が空いたときに少しずつそれらをご紹介していくこうと思います。

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ムー・タウンの子供たち 増村十七

 207頁まんが作品。

 古い住宅団地ムータウン。東京都練馬区にあり都心には近いはずなのだが、住民は減り高齢化し、街として死にかけている。宇宙の孤島とも言うべき「終わった街」である。主人公はその団地で権力をバックに金貸しの他怪しい商売を営んでいる。顧客は団地の老人たちである。

 そんな中、いくらでも空いている部屋に外国からの移民を受け入れる国の計画が持ち上がる。この誘致が成功すれば主人公たちは利権で美味しい思いができる。しかしそのためには、いま団地に巣食っている、団地の部屋の中で無許可でパチンコをやらせる店など違法営業の店などを一掃しなくてはならない。田舎の川に堤防を作るから、河川敷で無許可で農業をしている住民たちに立ち退いてくれと、住民の中の行政と癒着している一人の若者が言うようなものである。当然彼らは反発する。波乱が起きないはずはない……

 ムータウンは、もと旧軍の飛行場だったのがGHQに接収され、さらにそれが返還されて団地になったという複雑な経緯をたどっている。ムータウンの移民受け入れ政策とその反発は、かつて戦後の日本各地で幾度と無く行われてきた変革とそれに対する地元住民の抵抗運動の繰り返しでもある。田舎の閉鎖的なコミュニティをそのまま都会の巨大なマンション群に場所を移したかのような日本的な人間模様が頁から匂ってくる。
 悲しみながら人の骨を外す鳥海という男が怖い。
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