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【創作同人電子書籍紹介】「プラグド」伊豆介八


 111頁まんが作品。

 遠い未来、人類はユニットという擬似的なボディに意識を移して暮らしていた。彼らが生身で活動できるのはアーカイヴという電脳空間の中だけである。電脳空間なので生身とは言いがたいのではあるが。アーカイヴの中には、2000年台の、まだ人間が生身で外を出歩けた日本の街が再現されている。主人公はそこで同じくアーカイヴに意識だけを飛ばしてきた女の子と出会うが、彼らは肉体的感覚が乏しいので欲望もわかない。その女の子がある日意識のないユニットを残して意識だけアーカイヴに行ったまま戻ってこなくなってしまう。主人公は彼女を探しにアーカイヴに行く……

 SFとオカルトじみた要素が融け合っている世界観は面白い。女の子はアーカイヴに長くいて、仮想の過去世界(読者から見ると現代)のボロアパートで目的もないバイト暮らしを演じているうちに、そちらのほうが自分が一番人間らしく生きていたときであった、と思うようになる。現代の少年少女がゲーム世界に没入するように、遠い過去の人々の生活の記録に没入して、そちらのほうが「本物」であると思ってしまうのである。体が交換可能で、意識も電脳空間に移す事ができるようになったとき、人間らしさとは一体なんなのか。あらゆる欲望や興味が薄れた世界で、主人公が行動する理由が人と人との「縁」であるというのは面白い。
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