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#創作同人電子書籍 紹介 「未来さん」 新谷明弘

「未来さん」 新谷明弘



 215頁まんが作品。

 数百年後の未来社会の日常を描いたSF。一番面白かったのは未来では電気は年末に一回だけ屋台で買うものだというところ。未来では電気は電線で送られてくるのではなく、飴玉のような形の超高密度電池として売られているのである。電気を買う場面がお祭りの屋台でおもちゃを買っているかのようで、未来なのにクラシカルな日本の風習的なアレンジで面白かった。

 バレンタインに謎機械を贈るという回もいい。この時代ではバレンタインデーにはチョコではなく、謎機械を贈るのだ。謎機械とは、チャップリンのモダン・タイムスに出てくる機械のように、水流が水車を回すというなんでもないことを水路を迂回させたりしてひたすら冗長にしたものである。謎機械の絵がいい。人間の脳も謎機械にほかならないというオチもいい。渡辺浩弐先生のSF{2999年のゲーム・キッズ}に、ドーム型都市の中で人類が燃料を消費し機械を動かし雑多な経済活動が行っているが、無駄に生み出したものを片付けたりすることでエネルギーが空費されているだけで大局的に見ればドームの外についている風車の回転だけが都市全体の出力であった、という回があった。まんが描きは一日2000kcal(ガソリン180ccに相当)を消費して2ページの絵を出力する謎機械なのである。

 ユニークな未来世界の描写が楽しい一冊。
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