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161127創作同人誌即売会MGM214で見た本1

{Clarara Bird 2 降る降るキャンディ}[河内美加]




 主人より先に亡くなったペットが主人が天寿を全うして迎えに来てくれるまでしばし待つための世界クラララバード。何人かのペットが主人に連れられて天国へいくが、なかなか主人が来ない者もいる。ほんとうに迎えに来てもらえるのか不安である……
その不安を癒やすヒツジナというハーブ?がある。これは人に夢を見せ一時的に不安を取り除いてくれるものである。だがそれは一種の麻薬的危うさを持っている。楽園のような場所でありながら不安も入り交じるところがクラララバードの魅力である。
 主人公ぽちこはクラララバードに一番長くいるらしい。なぜ迎えが来ないのか……それはこの後の巻で明かされていくのだろう。
 少女漫画の技法を尽くして構成された画面が美麗である。

{プロレタリア魂}[堀内美里子]


 かつてプロレタリア芸術というものがあったという。戦前、労働者の真実を描くために立ち上がった労働者階級の若者たちがいたらしい。綺麗な風景画などをブルジョワ芸術と呼んで差別化した、ということである。彼らにとってはこのころ新しく出始めた漫画も、労働者が読むものとしてプロレタリア芸術とされた。だが彼らの活動は弾圧を受け短い期間で終わってしまう……
 若い頃プロレタリア芸術に関わった男が戦後紙芝居画家になり、紙芝居が廃れると貸本に流れ、貸本も漫画雑誌に負けて廃れ雑誌連載に移り……と話は続く。このへんの事情は「謎のマンガ家・酒井七馬伝」で読んだことがある。現代ではまんがといえば手塚治虫から始まったように思われているが、メインストリームではないもうひとつの流れがあったのである。手塚治虫にしても、子供の頃に彼らが描いた紙芝居やら貸本漫画やらをタイトルは憶えていなくてもどこかで見たことがあったはずである。

{K君大全 第3巻 首都の天使}[青空みどり]


 K君と主人公は芸大に入ろうとしている美術予備校生である(なお芸大に入るのは至難なので入る入ると言って5,6年美術予備校に通っているような人はゴロゴロいる)。K君はデッサンの講習で抽象画を描くような、自分の才能に絶対の自信をもっている傲慢な変人である。そのK君の絵が好きだというファンの女の子が現れた。だがK君は他の女を侍らせてその女の子に冷たい。K君は女と歓楽街にシケ込んで金を使い果たしおそらく女にも捨てられて全裸で帰ってくる。女の子は血を吐いて倒れ故郷に帰る。その女の子のスケッチブックはK君のタッチを真似た抽象画でいっぱいだった。それほど女の子はKくんのことを想っていたのだ……
 K君はまごうことなきクズ野郎なのだが、世間ではこういう人のほうが成功するものなのだ……なお、K君は作者さまの知人がモデルということである。
 このまんがはハーフリータというエロいまんが雑誌に連載されていたのだが、この3話めで編集長に「ちょっと休憩しますか」と言われ、作者さまが次にこの出版社で描くのは3年後になる……作者さまはそのさらに後、まんが教室の講師をしたり、企業のパンフレットに載せるまんがを描いたり、エロゲーの原画やシナリオを手がけたりしたということが巻末に載っているインタビューで知れる。なお、K君のモデルとなった人物は現在、絵画の賞を取ったという。
 そしてついに2015年、作者さまは漫画の手帖さまで再びまんがを描くことになる……
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