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#創作同人電子書籍 紹介 「インコンニウスの城砦」野村亮馬

「インコンニウスの城砦」野村亮馬

 モノクロまんが197頁。アフタヌーンで連載されていた「ベントラーベントラー」などの著作がある作者さまの自主制作オリジナルレーベル「馬頭電書」から出版された創作同人電子書籍である。

 北半球と南半球の国が争っている世界。孤児の少年が南球軍に属するスパイになり、北球軍の軍事工場に労働者として潜入する。北球軍は果たしてどんな兵器をつくっているのだろうか……

 少年は軍需工場で燃素管の発火テストや、謎の箱に管を差し込んでいく目的の分からない仕事をさせられる。自分もこういう、何のためのものなのかわからない部品をベルトコンベアで製造するバイトをしたことがある。パチンコの筐体の部品ということだったがもしかしたらそれは機密保持のための欺瞞で実は世界を滅ぼす兵器の一部だったのでは……と思わないでもない。で、少年が任せられたのは兵器工場のごく末端の仕事であるが、そこから南球軍のエージェントたちが敵である北球軍の造っている兵器がなんなのかを推理していくところが面白い。エージェントはいたるところに潜入していて、誰が敵なのかわからない諜報戦ははらはらする。

 魔術とメカの混在する世界観がいい。工業化が進み、軍事が全てに優先する息詰まる北球の街は、第二次大戦時の東欧を思わせる。ペンを物理的に機械で動かして絵を電信する無電描画などの、基底現実では発展しなかった技術が一般化しているスチームパンク世界は楽しい。魔術を失敗し続けることに因って熱を発生させる燃素管という機械など、この世界なりに体系付けられた技術はわくわくする。
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