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#創作同人電子書籍 紹介 「はてな村奇譚」小島アジコ

「はてな村奇譚」小島アジコ

 京都の片隅にあるという「はてな村」に迷い込んだ男。はてなブログなどのインターネットサービスのディープユーザーが形成するコミュニティがはてな村と呼ばれているらしいがこのまんがは実在の人物や団体とは一切関係がない。はず。

 はてな村の住民は、自分が書いたブログに読者の反応があるということを糧として生きている。彼らはブックマークという餌を食うことで人間ではない異形の姿と化している。皆、承認欲求、その具現である自分の記事へのブックマークを欲している。新参者はブックマークに飢え、中には金でそれを買う者もいる。また、新参なのにいきなりブックマークを集め過ぎて肉を喰らわれてズタボロになるものもいる。しかし立場が危うくなれば、「はてなやめます」記事を書けばいいだけである。「やっぱりはてなやめません」記事を書けば復活とブクマ稼ぎは容易である。本当に死んだと思われた者も、ほとぼりが冷めたあとで顔(ID)を変えてしれっとはてな村に戻って来たりする。なぜ彼らはこのような地獄に好き好んで戻ってくるのだろうか……そして彼ら転生者も、句読点や三点リーダの使い方などで(「……」と「・・・」と「、、、」の違い)前世が暴かれてしまう。

 はてな村では陰湿な嫌がらせも横行している。ウィッシュリストというものがある。これは○○が欲しいということを公開することであわよくば読者にそれを買ってプレゼントしてもらおうというものであるが、はてな村でウィッシュリストを公開すると、リストに載ってない土木工事用の砂5万円分(1トン)が送りつけられてくるという。政治家の対立候補事務所に寿司百人前を送りつける嫌がらせと似たようなものか。隙あらば他者を嬲ってウサを晴らし自尊心を満たす者の集う閉鎖的村社会である……はてな村怖い……がこの村は当然架空の村である。 

 はてな村では時折祭りが行われる。肥大した自意識がブロガーを巨大な異形へと変え、他の住民を巻き込んで炎上、激しい戦いが繰り広げられる。要するに炎上騒ぎに便乗してページビューとブックマークを稼ぎたい者がディスり合うということであるが、時々ぽっと出のブロガーが古参の大物を喰らって下克上することもありうるという。とはいえ、それはPCをシャットダウンすれば消えてしまう匿名ネット上の出来事でしかない。それでも、はてな村住民は24時間はてな村に常駐し、他の村人たちの監視を続ける。彼らにとってははてな村での地位を得ることが衣食住よりも重要なことなのだ……

 ネットコミュニティの闇が不条理まんがの体をとって面白おかしく描かれているが、このまんがは実在のインターネットサービスとは関係ない。個々のエピソードがやたらにリアルだがこのまんがは実在のインターネットサービスとは関係ない。はず。
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