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#創作同人電子書籍 紹介 尾籠憲一「牛鬼∨S上級国民 尾籠憲一 異色短篇漫画集⑦」#ホラー #オカルト #SF

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尾籠憲一「牛鬼∨S上級国民 尾籠憲一 異色短篇漫画集⑦」#ホラー #オカルト #SF #風刺

 カラーまんが166頁。

 大手建設会社の会長が、蚊のような生物を叩き潰します。すると少し大きい似たような生物がまた現れる……殺すたびにその生物は二倍の大きさになり、犬ほどの大きさになったその生物を会長は山に捨ててこさせるのですが……

 死ぬたびに二倍の大きさになる生物に襲われる男とその生物への対処を描いた作品です。
 その生物は牛鬼と呼ばれ、死ぬたびに体長が二倍になります。体長が二倍になるということは重さが八倍になるということであり、初めは蝿やゴキブリ程度でしかなかった牛鬼が、大型犬ほどの大きさになったあたりで会長の命を脅かす驚異となります。
 牛鬼はひたすらに会長を食べようと襲ってきます。この牛鬼は、会社がコストを削減したために決壊した堤防の近くの神社の神主がかけた呪いなのではないか……

 しかし牛鬼は体がでかいだけでとくに生命力が強いわけでもなく、放っておくと飢えてすぐに死んでしまいます。
 会長は会社のプロジェクトとして牛鬼を収容する施設と、それを運営するシステムを構築します。牛鬼を巨大化させないためには、細心の注意を払い牛鬼が死なないように制御していかなければならないのです。ここは、扱いを間違えれば放射能を撒き散らしてしまう原子炉などリスクのある施設を運営しなければならない現実の企業を象徴するようでもあります。

 40mほどに巨大化してしまった牛鬼は生きた牛しか食べないので、牛鬼を生かしておくためには200万円もする牛を一日数頭与えねばなりません。リスクを回避するために必要な莫大なコスト。自動化された工場のような設備を構築、コストカットのためそれをワンオペで稼働させる日々……
 ある日待遇に不満のある派遣社員の怠慢により工場のシステムが滞り、牛鬼はまた巨大化してしまうのでした……

ひーっ 牛鬼は、利益の為に堤防が決壊するリスクを無視しコストを切り詰めた建築会社への呪いとして描かれています。また、会長は牛鬼が死ぬというリスクと付き合って行かなければならないのですが、牛鬼を管理する施設へのコストを削減し、運営する現場の人の心への配慮を怠ったために再び危機に陥ることになります。
 これは基底現実において、自然災害などのリスクと付き合っていかなければならない、しかしリスクへの対処を怠って事故を起こしてしまう企業や国家への風刺とも言えます。

 牛鬼が死ぬたびに2倍になるとういう数学SF的面白さ、企業がシステマチックに動き牛鬼にどう対処していくかというプロジェクトX的な面白さ、リスクへの対処とその怠りという現実への風刺、現場で働く人々のブラック労働への皮肉、……さまざまな要素が見事に絡み合い、ホラーな娯楽として楽しめる優れた作品です。






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