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#創作同人電子書籍 紹介 斉所「河童渡世」#現代 #ファンタジー #バトル #ヤクザ

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斉所「河童渡世」#現代 #ファンタジー #バトル #ヤクザ

 現代日本、人間の姿で人間に混じって生きている河童を描いた作品です。ブックウォーカー版はキンドルの分冊無料版に加え、次回作への布石ともとれる短編作品とツイッターの広告画像などが追加されています。

現代に生きる河童という世界観



 この世界では河童はファミリー単位で組を作り人間社会に溶け込んでいます。ヤマメはこの街をシメるイワナ一家の長の娘、実質長代行をしています。
 少し前に河童全体を統括する大統領が亡くなり、現在は河童同士は小さなファミリー単位で縄張り争いを繰り返す戦国時代になっています。
 ヤマメの父であるイワナ一家の長も、どこが雇ったのか不明の「赤ら顔」と呼ばれる天狗の殺し屋に討たれてしまう。河童はダメージを受けると本体である皿の姿に戻り、その復活には人間の尻子玉が大量に必要となります。
 娘であるヤマメは人間の尻子玉(悪玉)を狩り、父を皿から復活させることが当面の目的となります。
 そこに、父を討った張本人である赤ら顔がやってくるのです……

 彼ら河童は、人間の尻子玉を抜くことができ、それは彼らにとって活力源でも有り麻薬のような存在であり大変な価値を持ちます。尻子玉を抜かれた人間は死ぬことはないものの伝承どおり腑抜けた存在になってしまう模様。
 しかしイワナ一家は信条として、カタギの尻子玉を抜くことはしないことを誓っています。
 一方でストレスを溜めた人間の尻子玉は、「悪玉」となって人の世に災いをもたらす妖怪となります。イワナ一家は悪玉を専門に狩る河童なのです。

配置される多様な父性



おすすめ  ヤマメの父を殺した天狗の男、赤ら顔のキャラがとにかくいい。金で雇われれば誰でも殺す凄腕の殺し屋、というキャラなのですが、父の敵に強烈な殺意を向ける娘のヤマメの心意気に惚れ、ヤマメと決闘をしてヤマメが勝てば誰の指示で父を殺したかを教えるという約束をします。
 河原での決闘で、赤ら顔は天狗の本文である風を使った強烈な攻撃を仕掛けてくるのです。

 赤ら顔は、ヤマメにとって父を殺した不倶戴天の敵なのですが、同時に、乗り越えなければいけない絶対の壁として、子供を厳しく鍛える父という父性の象徴と見ることもできます。
 彼に限らずこの作品には父性の影が強く見られます。オショロ爺はヤマメの父の父、つまり祖父なのですが、父を失って勢力を保つことが難しいと思われるイワナ一家の看板を降ろそうとヤマメに持ちかける、若者の将来を案じる父性を感じます。
 またボジャはガタイのいい河童でヤマメに戦いを教えてくれる、親戚の頼れる叔父さんと言った雰囲気。
 また、赤ら顔とは別にストーリーの敵役を担う伯父ゴギは、いっけん身内には優しそうなのですが根はヤクザな、関わり合いになりたくない親戚の兄貴といった雰囲気。

 皿になっているため本来の父は不在なのですが、その不在を埋めるものとして部分的な父性を持ったキャラがヤマメの周囲に配置されているのです。

 斉所先生の別作品「魔女渡世」が、母の呪縛から逃れ独立しようと足掻く娘という、母性をテーマとしていたのと対照的に、本作は父性という要素で構成されているように見ることができます。

→レビュー全文 斉所「Witch connection 魔女渡世」

 赤ら顔が牛丼屋で、女子高生にランデヴーを申し込まれた、と店員に語る場面はとてもおもしろい場面です。店員に「あなた大人でしょうが 一線超えちゃだめよ そういうコは 諭してあげなきゃ」と言われ意外にもそれを受け入れるシーンが最高。
 妖怪化して百年以上を生き人智を超えた武術には長けているものの、自分の半分以下の年齢の女性に人としての生き方を諭されるという点で、彼もまた人間としては未熟なのです。未熟故に人間を捨てて彼は妖怪と化したのでしょう。

ヤクザ映画の図式



 父不在のファミリーに、ある日伯父ゴギが高級車に乗って帰ってきます。バッグいっぱいの人間の尻子玉を携えて……(この尻子玉を麻薬と考えるとヤクザ映画の図式が鮮明となります)
 彼は何のために帰ってきたのか……ヤマメの父を殺すよう赤ら顔に依頼したのは誰なのか……

ハードな展開を中和する少年まんが的要素



 ヤマメといい感じになる後輩の少年三戸の存在も面白いところ。水棲妖怪であるヤマメが戦う時は水の中で動きやすいようにと思われますが半裸に甲冑という姿なのですが、「先輩の背中とお尻から目を逸らすのに必死だった」という場面が最高。ヤマメに限らず河童の戦闘形態は基本的に半裸なのもよし。
 また彼は最終決戦で重要な役割を担います。愛の力で主人公覚醒、という展開はやっぱり最高だな!

まとめ



 ヤクザ同士の縄張り争いを河童と天狗の妖怪バトルまんがという形で描いた作品です。ヤクザ映画のような展開とはいえ凄惨になりそうな場面も上手くギャグで中和され、必殺技の解説、主人公のピンチ→覚醒といった少年バトルまんが的要素も盛り込まれた、万人が楽しめる上質な娯楽作品となっています。

→ブックウォーカー版










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