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#コミティア123作品感想1「月面到達法」「雪国」

サムネ
月面到達法 スタッフWHY

 「アフロ13号」の人類初の月面着陸が来月に迫った時。1969年がモデルだろう。少年タケルは望遠鏡で月を観察していて、ツケモノ石が月へ飛んでいくところを発見する。魔術谷博士が書いた本によると、月を構成するかぐや石という岩石は引かれ合う力を持ち、かつて隕石の衝突で地球へと吹き飛ばされ地球の土の中に埋もれたかぐや石のかけらが、土から取り出されると月へと飛び出して戻っていくことがあるのだという。タケルは学校の裏の崖で採取したかぐや石を使って、メッセージボトルを月へ打ち上げアフロ13号よりも先に月面に到着させようとする。
 前作「遊星からのオッパイX」とびっくりするほど打って変わって美しいジュブナイルSFまんがである。弟に対してツンツンしている姉とタケルとの昭和のホームドラマ的な関係もよい。精密な絵ではないのだが昭和40年代の一般的住宅の空気がとてももいい。姉がかわいい。オチもいい。

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雪国 昼寝堂

 雪が降り主人公の少女たちが住む街が別世界となる。実際に別の世界「雪国」が出現したのだ。雪国の女王が現れ少女たちを案内してくれる。雪国では地面からかまくらが生えて育つ。ここでは雪うさぎも実在する生き物だ。コンビニは普通だが店員が雪男でアイスの品揃えが豊富だ。雪だるま味のお菓子もあるぞ。 
 「まるで別世界みたいだ」というセリフからすると少女たちが住んでいる都市は、普段は雪の降らない東京のようなところなのだろう。この作品は今年の大雪よりも以前に描かれたものであるが、都市部に大雪が降ると電車は止まり学校は休みになりひとときの非日常が訪れる。唐突に出現する非日常の世界が昼寝堂作品の魅力だ。
 東京では降り積もった雪は一日で消えてなくなる。きっとこの「雪国」も、一日で儚く消えてしまうのだろう。少女たちが再び雪の女王に会える日は来年かひょっとすると何年も後になってしまう。その間に少女たちは大人になる。大人にとっては、雪はただただ煩わしい日常の妨げでしかない。その時「雪国」は出現せず、雪の女王が雪国を案内してくれることもないだろう。
 昼寝堂作品の余計なもののない白い画面が「雪国」にマッチしている。
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