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海外まんが紹介1  「純姫(スニ)」李賢世(イヒョンセ) 1


 今更ですが、このブログの他に「創作同人電子書籍レビュー」というサイトを運営しています。出版社ではなく作家個人が自作を電子書籍化した創作同人電子書籍のレビューをするサイトで、誰でも投稿できるのですがいまのところ自分となかせよしみ先生の投稿しかないのです……面白い創作同人電子書籍を発見したら一行とか二行のレビューでも充分なので投稿してみてください。

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 で、これからこのブログではいくつか海外まんがの紹介をしていこうと思います。

「純姫(スニ)」李賢世(イヒョンセ)

 韓国のまんがである。アマゾンで探したが残念ながら中古品しかなく、書影すらなかった。韓国のアマゾンならどうかと見よう見まねでハングルを打ってググったのだが、そもそも韓国にアマゾンは進出していないらしい……

 不勉強だったのだが李賢世先生は韓国ではこの作家がいないとまんが雑誌が売れないと言われるレベルの韓国まんが界の重鎮ということである。もともとは子供向けギャグまんがで人気になられたということだが、本作「純姫」は大人向けのシリアスな劇画となっている。

 作風

 右から左へ進む日本のまんがと違って、アメコミと同じく左から右へ進む方式である。吹き出しの中の文字は日本語に翻訳されているが、擬音はハングルのままである。絵柄やコマ割りはアメコミというよりはかなり日本の劇画に近いスタイルである。基本的に劇画タッチだが、軽いギャグシーンでギャグ顔が描かれたりするのはギャグまんがを描かれていたせいか。女性キャラは端正だが男性キャラは角ばった輪郭や極端な巨躯など、かなりデフォルメされているものもいる。 描画に使っているペンはGペンではなくもっと細いスクールペンか丸ペンか、ともかくインクと金属の弾力を使って線に強弱を出すペンのようである。スクリーントーンは日本のものと同じようなものが使われている。乾いたブラシの先だけにインクを付けさっと擦ることで荒々しいタッチを出す技法が多用されている。ハングル文字と左から右へと進む点を除いて、全体的に日本のまんがの作風とそれほど違いはない。まったく知らない人が1頁だけ見せられたら、同年代の80年代の日本の劇画と誤解するかもしれない。

 ストーリー

 物語の主人公、スニは二十歳そこそこの若い女性である。家族は義父しかいない。その義父も昼間っから売春宿にシケ込んでいるような男である。ソウル近郊の農家で豚を飼い貧しい暮らしをしている。しかしスニは明るい。ある朝、豚の餌となる飲食店等の残飯を回収するためにソウルに行く。そこでスニは、麦の柄の入った服を着て花束を提げた女に出会う。麦の女はファッションも洗練されていて都会的な女であり田舎娘丸出しのスニとはまったく対照的である。麦の女に憧れるスニ。麦の女はスニにダイヤの指輪をくれる。

 その直後、銀行で警報が鳴る。銀行から金を奪った武装強盗が飛び出して来る。駆けつけたパトカーに、麦の女は花束に隠したショットガンをぶっ放す。麦の女は武装強盗の一味だったのだ。スニを人質にして車に連れ込んでパトカーから逃げる強盗一味。田舎っぽいが豊満な肉体を持つスニは強盗に乱暴されかかるが麦の女がそれを止め、スニは無傷で解放される。武装強盗一味は麦の女を含め警官との銃撃戦で全員射殺された……

 のっけから「俺たちに明日はない」ばりのハードな展開である。この事件以降スニは波乱の人生を歩み、ことある毎に麦の女の事を思うようになる……

 続く。
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