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#コミティア123作品感想 3 「みっちりなるべくぎっしり」「スマートフトン」「初音ミクの3年前に考えた機械音声と声優のあり方」

イラスト
みっちりなるべくぎっしり20180211 吉井徹

 イラストとテキストでデジタル・アナログゲーム・コンビニグルメ・ホビークラフト・ネット番組などなど様々な話題をみっちりぎっしり詰め込んだ本。イラストとテキストの空間充填具合がすごい。テキストの上から手書きでさらに注釈が書き込まれているのがみっちり感がする。しかし読みづらいということがないのはまんがでいうコマ割りのようなレイアウトの効果か。女の子がかわいい。クリーチャーがかっこいい。水棲生物をモチーフにしたというエルフのデザインがすごい。イラストの線一本一本がエネルギーに満ちている。

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スマートフトン ペプパピポ

 持ち運び可能なスマートふとんが開発された未来。電車にはふとん専用車両が用意され、通勤の間に携帯式ふとんをセットして寝ることができるようになった。技術の進歩によりスマートフォンと同様にスマートふとんもどんどん巨大化し、駐団場なる有料ふとん置き場ができる。人々の睡眠は快適になっていく一方、古い機種が路上に捨てられるなどの社会問題も発生する。
 技術の革新とそれに踊らされる人々やそれに応じた社会問題をユーモラスに描いたSFまんがである。「人工太陽ふとんふんわり乾燥室」などの無駄に超高度なテクノロジーが出てくるのもSFギャグまんがの醍醐味だ。キャラが女子高生?なのに達観した科学者のようなテンションの低いセリフ回しもおもしろい。「ほいじゃあ行ってみよう」「よっしゃ」のコマで拳を突き合わせるような、とくにストーリー上必要というわけでもないちょっとした仕草もいい。親しみのもてる絵柄もいい。近未来であるのに木造モルタルの家が立ち並ぶブロック塀の住宅地の路地などの描写もいい。

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初音ミクの3年前に考えた機械音声と声優のあり方 井口太陽

 基底現実の今ではボイスロイドは既に普及していてコンビニや駅などでも普通に聞くことができるが、本作が構想されたのは初音ミクもまだない2004年ということである。
 完璧に人間の音声を再現できる機械音声が普及した未来。アニメ番組の声優も機械音声が当てるのが普通の時代だが、あるアニメ映画では経営上の問題から1キャラにのみやむをえず人間の声優を使うことになった。抜擢された新米声優の亜矢は収録に臨むが、リテイク連続の辛い現場であった……
 他のキャラは機械音声で完璧な演技をするのに比べ新米で経験もなくダメ出しの連続という逆境が、アニメの中のキャラクターが置かれたピンチと重なっていく。新米声優が逆境の中頑張っていい演技をするというストーリーには篤いものがある。ただ、「他が完璧な機械音声で、自分だけ新米の人間である」というのがこの設定の意義なのだから、そこがわかるとよかった。クライマックスへ至る展開と見開きは篤い。
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